『まど・みちお全詩集』
伊藤英治編/理論社刊/定価5,000円

 読んでいて、何でもない日常の生活の中のほんのちょっとしたことが楽しく思えてくる。普段はなにも感じないことが、大人になって忘れかけている気持ちが、この本の中にはたくさんある。短い言葉の1つ1つにまどみちおさんの世界が広がる。やさしい気持ち、不思議に思う気持ちが、飾ることなく表現されていて、そのまま私の心の奥底にしみ込んでくるような、そんな気がする。

 「ぞうさん ぞうさん おはながながいのね そうよ かあさんも ながいのよ」(『ぞうさん』)という詩は有名であるが、本書の中にはこれだけではなく、すばらしい詩が沢山つまっている。

 「だれが いちばん すきですかってきいてごらん ぼくに ぼくに おしえて あげるよ 「マ」がつくよ だれが いちばん すきですかって きいて ごらん ママに ママに おしえて くれるよ 「ぼ」がつくよ」(『ぼくとママ』)

 少し考えさせられたり、ほのぼのとした気持ちになったり、なにか大切なものがあるような気がする。特に忙しい現代の私たちには、ゆっくりと味わって読んでいきたい1冊である。