『納棺夫日記』
青木新門著/文春文庫/定価437円(税別)

 「納棺夫」とは、死体を棺に納める際、アルコールで拭き、白衣を着せ、髪や顔を整え、手を組んで数珠を持たせ、納棺するまでの作業をする人のことで、これは、著者の造語である。

 著者が、この納棺夫となるきっかけは、前半生のいくつかの失敗にあった。早稲田大学を中退、飲食店経営の失敗、文学に傾倒するが納得ゆく作品を見ることができなかった。その結果、生まれた子供に飲ますドライミルクを買うお金もなくなったのである。そんなある日、新聞の求人欄に眼が止まったのが、「冠婚葬祭互助会・社員募集」であり、これが著者と死者たちとの出会いである納棺夫としての仕事であった。著者は、この仕事を続けることにより多くの人の死に遇い、そして、「生」と「死」について考え、しだいに親鴛聖人の教えに導かれていくのである。

 この『納棺夫日記』という作品は、冠婚葬祭の会社に入社したときから書き始めた著者の日記から生まれた作品である。