『浄土三部経(現代語版)』
浄土真宗聖典編纂委員会編/本願寺出版社刊/定価1,200円

 経典とは本来、釈尊が人々に語りかけた説法であり、元々は現地の言葉で書かれていた。中国人たちはインドで書かれた経典を自国語に翻訳して仏教を理解した。ところが日本では、日本語の翻訳経典を編むことなく漢文のまま仏教を受け入れた。日本語で意味を解説したり新たに法語を著したりすることはあっても、日本語でお経をとなえることはない。そのことは日本仏教の1つの特色でもあるが、釈尊の教えを身近にしえないという点で、正当な流通が阻害されていたといえる。

 本願寺から上梓された本書は、浄土真宗の基本聖典である三部経の現代語版である。単なる翻訳書でなく「聖典」として本願寺が現代語経典を世に送るのはこれが初めてである。釈尊によって開顕された阿弥陀如来の教えを直接聴聞できるという意味では、まさに待望の書である。「意味が判ったらあまり有り難い気がしない」という声を聞く。それはごまかしというべきである。私たちは言葉を通してしか、真実の教えにふれることはないのだから。