『信に生きる―親鸞―』

(仏教を生きる9)

阿満 利磨著/中央公論新社/1,600円(税別)



  浄土真宗の教えには無理矢理に信じなくてはならないという強制は一切ありません。ただ、「阿弥陀仏の本願」という救済原理のいわれを徹底して納得するというプロセスだけが信心に導く手段なのです。信心は、人間であることの愚かしさや限界を噛みしめてはじめて開かれてくるのです。自分への疑いや問いが、信心への出発点になるのです。まず何かを信じることが先にあるのではありません。

 浄土真宗は万人に開かれているやさしい宗教なのですが、受け止める人間のほうが条件をつけてむずかしくしている節があります。しかし、親鸞聖人はそうした人間の弱みを見抜かれていました。だからこそ、阿弥陀仏の本願に対する「疑い」こそが信心への通路になるのだ、と言い切られたのです。

 著者は、はじめにこのように述べ、法然上人にはじまり親鸞聖人によって大きく展開された仏教を丁寧に解説していきます。「これからお話を聞いてみよう」という人には少しむずかしいかもしれませんが、読み応えのあるしっかりした内容の本です。