真宗の大意
信楽峻麿著/法藏館/2,000円

 真実とは、言葉による表現を越えています。逆にいえば、言葉は真実をそっくりそのままに表現しうるものではありません。例えば、一個のコップをさして、水を飲む道具であるというのは、コップの機能からみた真実ですし、800円で仕入れて1000円で売り、200円の利潤を得る媒体である、というのは経済的価値からみたコップの真実なのです。つまり、言葉で示されたものは部分的真実でしかありません。さらに、「絵にかいた餅」というように、いくら言葉でうまく表現したところで、それは「もの」それ自体ではありません。

 真宗の教えの説き方にもさまざまな視座があります。今回紹介する『真宗の大意』は、伝統的な真宗理解を踏まえながらも、異なる視座から親鸞聖人の思想の本質と現代的意義を大乗仏教の原点に立ち返り、仏道・信心・生活の観点から解明したアメリカでの講義録です。

 これまでのお聴聞でよく理解できなかったことが、新たな視座から説かれたこの本によってわかるようになるかもしれません。