香炉のおはなし


「香」はすべてにゆきわたり遍満する阿弥陀如来の平等なお心を象徴するものです。人によっては敬遠される方もおられますが、上質の香をほどよくもやせば、心身は清らかにすがすがしく感ぜられるものです。その香をもやすお道具が「香炉」です。

【香炉の種類】
 お仏壇にお飾りする香炉には、金香炉と土香炉があります。金香炉は、宣徳製(銅に茶色または茶褐色の漆で色づけしたもの)で、獅子などの飾りのある蓋がついています。通常、香炉台にのせます。土香炉は陶製で蓋のないものです。仏壇店によっては土香炉のかわりに蓋のない金香炉をつける場合もあります。

【香炉の配置】
 三具足のときも五具足のときも、香炉は常に中央に置きます。その際、金香炉を香炉台にのせ、その手前に土香炉を置きます。お仏壇の奥行きに余裕がないときは、金香炉と香炉台を土香炉より上の段に置きます。それぞれのお仏壇の大きさに応じて、置く段の位置を決めてください。ただし、お仏壇の手前にある経卓の上はなるべく避けること。経卓はお経本を置く机です。ほかのお道具は一切置かないのが本来です。

【香のもやし方】
 金香炉は本来、焼香用の香炉ですが、今ではお飾りするだけで香は入れません。通常は土香炉に線香で香をとります。浄土真宗では、線香は立てずに香炉の灰の上に寝かせます。長い線香はそのままでは香炉に入らないので、適当な長さに折って入れます。数は2本ないしは4本程度で十分です。あまり沢山もやすとけむたいばかりで、かえって香の効果が失われます。煙がただよう程度にします。火を消すとき、口で吹き消したりしないようにしましょう。線香を縦向きに振ると消しやすいですよ。

【灰について】
 香炉の中に入れる下地には、必ず香灰を用いるようにしましょう。砂や金砂などを使ったものを見受けますが、これらは温度が低いので、寝かせた線香がすぐに消えてしまいます。
 灰を入れるからといって、香炉は灰皿ではありません。マッチの燃えかすやタバコの灰などは、決して香炉に捨てないように。

【香炉の方向】
 よく勝手な方向を向いた香炉を見受けますが、香炉にも前後の向きがあります。3本足のものは1本足が正面にくるように向けます。取っ手のある場合はそれを横に、胴に紋や飾りがついたものはそれを正面に向けます。金香炉の蓋の飾り獅子は、顔が正面です。(ここでいう「正面」とは、こちらから見える側のことで、御本尊側の方向ではありません)。


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