ザ・職人

〜線香のできるまで〜

 仏事に欠かせないお線香。色も長さも様々あるけど、いったいどんな原料から、どのようにして作られるのだろうか?
 そのような疑問を抱いたおみじょ探検隊は、さっそく京都の香老舗・松榮堂さんにご協力をいただき、その製造現場に潜入してみました。

1.原料

 線香の原料は、中国やインド、東南アジアを中心に世界各国より運ばれてきます。種類も、よく知られている沈香や白檀・桂皮(シナモン)・丁子・竜涎香(鯨の結石)など、さまざまあります。なかでも沈香の伽羅(きゃら=写真)は最高品質で、ベトナムの限られた場所でしか取れない貴重品です。

2.調合

 数種類の原料を粉にして調合し、つなぎに粘着力のあるタブノキというクスノキ科の常緑高木の樹皮の粉末=タブ粉(写真左)を混ぜます。線香をよく見ると細かな繊維が絡みあっていることに気付かされるでしょう。それがタブノキの甘皮の繊維です。線香は元々「繊香」と書いたそうですが、それもこのためです。

3.練り合わせ

 タブ粉を混ぜた粉末に、熱湯を加えて何度も練りあわせます。線香作りの魅力と難しさもこの多数の香料とタブ粉の配合比率や練る時の熱湯の量の微妙な加減にあるそうです。その加減を誤ると線香が曲がったり、そったり、また点火してもすぐに消えたり、折れやすかったりするので、熟練の職人の勘がものをいいます。

4.圧縮

 練り終える前に染料を入れて色を着け、玉締めと呼ばれる機械(写真左)に入れ圧縮させます。写真右は圧縮しててきた香の固まり。

5.押出し

 圧縮したものを押出し機にかけます。小さな穴からそうめん状のものが出てきます。

6.盆切り

 そうめん状の線香を盆に受け、竹べらで切りそろえます。

 押し出し機の出口の穴は均一になっていて、同じ太さの線香が生まれます。

7.生付け

 盆切りの後、乾燥板に移し、製品にあった長さに切りそろえます。この400本近い生のやわらかい線香を、竹べらでそろえていく作業は、相当熟練していないとできません。線香と線香の間に隙間ができると、乾燥したとき曲がって不良品になるので、ぎっしりと詰めて並べなければなりません。まさに職人技です。

8.乾燥

 3、4日の間、自然乾燥させます。梅雨時分のカビは大敵です。




9.箱詰め

 重さと数を確かめながら、一つ一つ手作業で箱に詰めて、できあがり!


 いかがでしたか?お香ができるまでの手間や苦労、そしてその魅力と深さを少しは感じとることができたでしょうか。いかに機械化が進んでも、線香は長年の経験を積み重ねた熟練の産物といえます。取材を通じて、天然香木独自の深さと微妙な味わいを追及する、老舗ならではのこだわりを強く感じました。ご協力いただいた松榮堂さん、ありがとうございました。

参考資料:香老舗松榮堂広報室編『香りの手帳』(福武文庫)

→松榮堂ホームページ:http://www.shoyeido.co.jp/